ドイツ安全なエネルギー供給に関する倫理委員会の議事録の日本語版が公開に

  • 印刷

ここ1年の1番の大仕事が公開となりました。

 

「ドイツ安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」議事録

http://www.sc.social.env.nagoya-u.ac.jp/achieves/reports/ethikkommision

名古屋大学大学院(環境学研究科社会環境学専攻)の準教授でおられる丸山康司先生のご尽力のもとに実現したものですが、この議事録が日本でこのようなかたちで広く公開されたことを本当に嬉しく思います。

ドイツでは過去に政治の上で脱原発を決定していましたが、ここ10年ほどの間に同じく政治の都合であやふやなものとなり、さらにはメルケル政権で脱原発のタイミングを先送りする話が強行突破されようとしていました。

5年近くベルリンに住んでいる間にドイツ市民の脱原発ブームの盛り上がりを肌で感じ、特に2009年頃からは毎月のように首相官邸前に足を運びました。あれだけ数万、数十万という国民が行動に出ても、原発を延命する決断をした独政府にはほとほとがっかりしたものですが、その数ヶ月後に日本で取り返しのつかない原発事故が起こり、その影響で決断があっさりと覆されようとは夢だに思いませんでした。

原発を延命するのはもはや無理だと判断した独政府が、具体的に早期的な脱原発の進め方を検討する上で設置した安全なエネルギー供給に関する倫理委員会。「倫理的観点から現実的なエネルギーシフトを議論する」というこの委員会の果たした役割についても、既に日本のメディアでも話題にされたためご存じの方も多いでしょう。

今回日本語で公開されたのは、その倫理委員会の公開討論の内容を一字一句記録した議事録です。委員会の会議には未公開と公開のものとありましたが、各方面の専門家28人を招いて4つの観点から11時間かけて意見を聞いたこの公開討論についてはテレビ中継もされ、広く市民が議論のゆくえを見守りました。

ドイツがエネルギーシフトの倫理面をどう議論したのか、どのような立場の人がどのような利害を背後に抱えて大衆を意識しながらどう発言したのか。日本のエネルギーのゆくえを国民みんなで考えるに際して参考になるのではないかと心から期待しています。